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書評『学力の経済学』

いまの教育に本当に効果はあるのか?

先日、読んだ書籍『学力の経済学』は、教育を科学的根拠に基づいて解説しています。従来の思い込みで語られてきた教育法を、実験とデータをもとに検証しているのです。多くのメディアで取り上げられ、あの林修先生も参考にしている書籍です。教育経済学者である著者が、主観を排除した科学的な教育法を紹介していますので、ぜひ直接書店で手に取ってみてください。

子どもをご褒美で釣ってはいけないのか

結論から先に書きますと「ご褒美で釣るのはOKです」。これは非常に衝撃的でした。私自身、子どもの頃の記憶では、勉強でご褒美を与えられた経験はほとんどなく、ご褒美で釣ることは良くないと思っていました。

ただし、ご褒美の与え方には注意が必要です。

ご褒美は「テストの点数」などのアウトプットではなく、「本を読む」「宿題をする」などのインプットに対して与えるべきです。米国の5都市で行われた実験では、小学2年生から中学3年生までの約3万6千人を対象に、ご褒美の効果を調査しました。

ご褒美の正しい設定についても触れられており、以下のようにまとめられます。

  • 子どもが小さいうちはお金以外のご褒美がよい
  • 中高生くらいからはお金をご褒美にしてもよい
  • ご褒美は遠い将来(1年後など)より、近い将来に与えたほうが効果的

ご褒美の与え方については、行動経済学の視点からも説明されており納得のいく方法だと感じました。

子どもはほめて育てるべきか

これもまた、私にとっては衝撃的な実験結果でした。結論としては、ほめて育てることは子どもの自尊心の向上には効果がありますが、学力の高さとの因果関係は認められません。

「自尊心が高まると学力が高まる」のではなく、「学力が高い子どもは自尊心も高い傾向がある」という相関関係が示されています。褒めること(自尊心を高めること)にはリスクも伴います。大学生を対象にした実験では、悪い成績を取った学生に対して自尊心を高める介入を行うと、反省する機会を奪い、根拠のない自信を持つことになってしまうのです。

褒め方についてのポイントは以下の通りです。

  • 自尊心と学力に因果関係はなく、あくまで結果にすぎない
  • 子どもの能力ではなく、努力を褒める
  • 能力を褒めると意欲を失い逆効果になる

これらも実験とデータに基づいた結果ですが、絶対にこうしなければならないというわけではありません。親が子どもに自分自身を大切にしてほしいという思いから、自尊心を高めることを願うのであれば、能力ではなく努力、結果ではなくプロセスを褒めることを続けるのが良いと考えます。

ゲームやテレビは子どもに悪影響なのか

そろそろ結論が予想できるかもしれません。そう、結果は「否」です。ゲームやテレビが子どもに悪影響という科学的根拠は不足しています。確かに、問題行動を起こす子どもや学力の低い子どもがゲームやテレビを長時間見るという相関関係はありますが、それらが子どもに悪影響であるという因果関係はありません。1日1時間程度のゲームやテレビ視聴は子どものリフレッシュにもなり、全く見ない子どもとの差はほとんどないのです。

シカゴ大学で行われた実験では、幼少期に教育テレビを見ていた子どもは、就学後に学力が高かったことが示されています。しかし、本書では、1日2時間以上のゲームやテレビ視聴は子どもの発達や学習時間に負の影響を与えることも指摘していますので、長時間のゲームは控えるべきと考えられます。

印象的なテーマ

今回は紹介しませんでしたが、本書では他にも印象的だったテーマがありますので、ポイントをまとめてみます。

  • 「勉強しなさい」と言うだけのお手軽なものに効果はない
  • 学力という認知能力よりも「自制心」や「やり抜く力」などの非認知能力のほうが重要
  • 行き過ぎた平等主義は格差を拡大させる
  • 日本の教育政策は科学的根拠が乏しい

まとめ

『学力の経済学』は、教育の効果を科学的に検証した非常に興味深い書籍です。ご褒美や褒め方、ゲームやテレビの影響など、私たちが常識として持っている考え方を見直すきっかけになるでしょう。教育の効果を最大化するために、科学的根拠に基づいた方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。ぜひ一度手に取って、読んでみてください。

子供心理・チャイルド心理資格取得講座卒業・修了証明 子供心理カウンセラー®資格資格認定証

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