子どもに勉強をしてほしいけれど、なかなか言う通りに勉強してくれない。そんなお悩みをお持ちではありませんか?また、学校の成績もそこそこ良く、塾にも通わせているから、うちでは勉強しなさいと言ったことがない、という素晴らしいご家庭もあるでしょう。今回は、著書『世界で通用する一流の育て方』の中で、勉強が好きなお子さん、苦手なお子さんどちらにも適用できる育て方を紹介したいと思います。
家庭こそが最強の私立校
塾通いや通信教材を使って勉強するよりも最も費用が安く、かつ効率よく子どもが勉強するには家庭学習こそが重要だと本書では訴えています。著者は大分県で英会話教室を営んでおり、実の娘さんは現役でハーバード大学に合格という実績を残しています。娘さんは小中校と公立の学校に通い、塾には一度も通ったことがなく、学費は12年間でわずか50万円だったそうです。文部科学省によると、公立の小中高に12年間通うと全国平均の授業料は約83万円。塾や習い事を加えると約400万円。ずっと私立だと約840万円。塾通いを含めると総額約1,440万円以上になります。
本書のタイトルや著者の職業を見て、「特別な家庭だからできたんでしょ?」「うちは普通だから参考にならない」と思われた読者もいらっしゃると思いますが、私は本書に書かれた全てを真似する必要はなく、誰でも取り入れることができそうな“育て方”をピックアップしてご紹介したいと思います。
最強の私立校(家庭学習)の作り方
①ポリシーを定める
著者は家庭で子どもを育てる時、「自立した人間」を育てることをポリシーとしていたそうです。まずは、夫婦で子育ての(こういう子に育ってほしいという)基本ポリシーを決め、共有しましょう。
②カリキュラムを決める
まず、夫婦で校長、教頭を決めます。義務教育の5教科7科目は学校を信じて“外注”し、子どもは何が好きで何が得意なのか、いろいろな分野を試してみましょう。家庭では子どもの好きや得意を伸ばします。もし、何から試したらいいか迷ったときは、親御さんが好き・得意の周辺領域から探してはいかがでしょう。
③To Doリストを活用する
好き・得意の手がかりが得られたら、それを因数分解し、やるべきタスクをリストにしてみましょう。
本書ではバイオリンで例えていましたが、私が好きで続けてきた卓球を例に因数分解しリスト化してみます。
- ラケットとボールを用意する
- ボールをラケットの上でついて遊ぶ(ラケッティング)
- テーブルの上に紙コップなどを置き、ボールを打って当ててみる
このように最初のうちはゲーム感覚で楽しみながらやってみて、徐々にラケットの握り方、振り方、卓球台での打ち方とできることを増やしていきます。
④ひたすら褒める(評価しない)
前回「学力の経済学」で褒めることに言及しましたが、本書でも、子どものプロセスを褒めることについては推奨しています。子どものプロセスや努力を正しく褒めるためにToDoリストがあると最適です。ToDoリストを一つクリアしたら褒めてあげましょう。しかし、うまくできたかどうかを評価してはいけません。大切なのは学校以外で頑張ってチャレンジしたという姿勢。そこを一生懸命褒めることが重要です。
⑤楽しいイベントを適宜織り交ぜる
例えば、おにぎりを作って公園を散歩する。美術館や植物園などへ行くのも学校や家庭では得られない貴重な学びの機会になります。親御さんからどんなイベントをやってみたい?と子どもに聞いてみて、一緒にイベントを企画すると子どもの好き・得意をさらに伸ばすきっかけにもなります。
⑥家庭では無償の愛を注ぎ、学校では人間関係を学ぶ
ハーバード大学のある実験と研究によると、幸福度を直接決める要因は学歴でも年収でも住環境でもなく、「良い人間関係」が築けているかどうか、だったそうです。家庭で無償の愛を注ぐには、家庭が安心安全な場所であることも必要です。そのために、親同士が褒め合い、その日の出来事や意見をシェアし合いましょう。
いかがでしょう。こうして見ると、そこまで難しくはないように思えます。前半は少し会社みたいな雰囲気を感じますね。子育ても仕事と同じくらい真剣に取り組むことが必要だと考えられます。
家庭学習はビジネス感覚でマネジメント
これからの日本教育は改革を余儀なくされています。今の日本社会で起きている出来事は言うまでもなく、生成AIの登場、高齢化社会の加速、人手不足です。言語や多様性理解などグローバルな視点も必要です。となれば、主体性をもって自ら切り開いていける子どもを育てていくしかありません。ビジネスと同じように家庭学習をマネジメントするポイントは以下の通りです。
- 重複していることや費用対効果が低い“ムダ”を削る
- 優先順位をつける
- 効率的にスケジューリングをする
- ムダを削った分、余暇を増やして有効活用する
以上4つをまとめると「選択と集中」になります。やはり、子育ても仕事と同じように真剣に考えていくとやるべきことが明確になります。
家庭学習で問題解決能力・考える力を高める
2020年から改定された学習指導要領では、丸暗記主体のロートラーニングではイノベーションが育たないことの反省から「主体的・対話的で深い学び」が重視されるようになりました。
そのために家庭でできることは、
- 家族で何でもディスカッションする
- 小学生の頃から政治経済、芸術の話をたくさんする
- 日常生活に文化や芸術の話を盛り込む
- 教育の大切さを教える
です。学校で5教科7科目を学び、家庭で主体的に考える力や社会問題、文化価値などを学ぶことは「自分で考える力」を養うことに繋がります。
まとめ
世の中には様々は教育本や「正しい育て方」を謳った本が多く存在します。中には非現実的な内容もあり、ハードルが高く感じられるでしょう。本書も「世界に通用する」とか「ハーバード大学合格」など一見レベルが高い本と思われがちですが、その内容は決して難しいことばかりではありません。今からでも実践可能な内容も多いので、参考になれたらと思います。
地頭塾でも「子どもの個性を大事に、その子の得意を伸ばす学習」を実践していますので、気になった方はお気軽にお問合せください。2024年9月1日開校ですので、楽しみにしていてくださいね。